【作曲のための音楽理論】各コードが持つ機能のまとめ【和声法】

2020年5月29日

このブログを普段から見て頂いている方には”お前また音楽理論かよ”とか言われそうですが、書きたくなってしまったものは仕方ないので書かせて頂きます。

さて今回はタイトルにもある通り、”コード”つまり、作曲に使用される和音の機能についてのまとめた記事です。
以前に書いた記事内でもトニック・サブドミナント・ドミナントなどのごく基本的なコードの持つ役割については触れましたが、ここではジャズでも使われるような更に発展的なコードについても書いておりますので、ぜひ作曲・編曲に役立てて下さい。

サブドミナント・マイナー

まずは比較的わかりやすいサブドミナント・マイナーから。
これは名前の通り、メジャー・スケール上のサブドミナントのコードをマイナーコードにしたものを指します。
例えばCメジャー・キー(ハ長調)だと、サブドミナントはⅣのFコードなので・・・(※1)トニック・サブドミナント・ドミナントについてはこの記事を参照。

サブドミナントマイナー

Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ-Ⅰの一般的な進行で使用するとこうなります。
単純な進行でも簡単に変化がつけられますし、マイナーコードが混じったほんの一瞬だけ少し物憂げな感じが出て、そこからすぐにメジャーに戻るので一種の解放感が味わえることから、J-POPなどでも曲の終わり際に使われたりします。

ちなみにコード理論の大原則である”構成音のよく似たものを代理コードとして利用する”という法則がこのサブドミナント・マイナーにも適応されることにより

    • Ⅳmの構成音を含む  Ⅱm7(♭5)
    • 3rd・5thの音を含む ♭ⅥMaj7
    • ルート・3rdを含む  ♭Ⅶ7

なども、同じくサブドミナントとして利用できます。
(使いすぎると調性が迷子になるので注意)

#Ⅳm7(♭5)について

ジャズなどでよく使われる#Ⅳm7(♭5)書くの面倒くせえですが、こちらも一応、サブドミナントの代わりとして使用することができます。(※2)Cメジャーキーだと構成音はF#-A-C-E。これはFmaj7のものとほとんど被るため同じような響きが得られる。
ならばなぜ、わざわざ”一応”と付けたうえで見出しまで別にしたのかと言いますと、このコードはサブドミナント以外に別の使いかたもあるためです。しかも2つ

1つ目の用例としては、これも本コードの構成音を考えて頂ければわかるのですが例えばCメジャーキーですとFMaj7のルートを半音上げた F#-A-C-E ですが、後半の3つの音はトニックのC6(#11)のコードと同じになりますよね?(※3)ⅥのAmとも被ります。
そのため、#Ⅳm7(♭5)はトニックの代理コードとしても使用することが可能となるのです。

そしてこれは少しややこしいのですが、もう一つの用例はⅢmに進行するツーファイブのⅡm(♭5)の代理コードとしての使い方です。
・・・うーん、自分で書いてても分かりにくい。

これを説明するためには前回書いたセカンダリードミナントの記事をまずは見て頂ければ分かりやすいと思うのですが
クリックで記事に飛びます
出来るだけ分かりやすく解説すると、この用例ではⅢmつまりCメジャーキーでのEmから見たドミナントはB7であり更にそこから見たドミナントはこのF#m7(♭5)になるので、EmをルートとしてみたツーファイブのⅡとして使用できますよということです。

もし、これでも分かりにくいという場合には記事の最後に貼ってあるリンクから、今回参考にさせて頂いた”JAZZ STANDARD THEORY”を購入して読むことをオススメします(唐突なマーケティング行為)。
私の今の文章力ではコピペなしで説明しようと思うとこれが限界です。

ディミニッシュ・コード

サクッと説明しようと思っていたサブドミナント・マイナーに思いのほか手間取ってしまいましたので、すぐさま次のコードの紹介に移ります。

クラシックからポップスまで幅広く愛されるディミニッシュコードですが、その用法は大きく分けて3つあります。

まず1つ目の用例はドミナントコードの代理コードとしてです。
そもそもディミニッシュ・コードと言うのはルートから短三度の音を重ねていったもののことを指しますが、このコードはメジャーダイアトニック上にはⅦdimの一つしか存在しません。
そしてこのコードの構成音はCメジャーキーだと B-D-F-Ab となり、これは本来のドミナントであるG7(♭9)の構成音とルート以外全く同じものになりますので、こちらも”構成音の似たものを代理コードとして扱う”という法則に従い、Ⅴの代用として使うことが出来るというわけです。

2つ目も同じように代理コードとしての使い方なのですが、これは先ほどのようにドミナントとしてではなくトニックの代わりとしてディミニッシュ・コードを使うという一風変わったものです。
とはいえ、もちろんダイアトニック上にあるコードではあまりに構成音が異なるため、この場合は単純にⅠのコードをディミニッシュにリハーモナイズして使用されます。
まあ、循環コードなどで飽きさせないための一つの手段として考えればよいでしょう。

最後にジャズなどにおいて最も多い用法であるパッシング・ディミニッシュとしての使い方についても紹介しておきます。

上の譜例はビル・エヴァンス編の”不思議の国のアリス”から一部引用させて頂いたものですが(※4)完全採譜 ビル・エヴァンスが弾きたくて (模範演奏CD付)より引用、三連符の一番初めのDm7から3つ目の同じコードに行くまでの間にGdim7が挟まっていますよね?
このようにコードとコードの接続がスムーズになる場合、間に挟まれたディミニッシュ・コードのことを特にパッシング・ディミニッシュと呼び、これが3つ目の用例になります。

おわりに

思った以上の文字数になってしまったため、残念ながら”全てのコードを列挙する”とまでは行きませんでしたが、良く使われるものには大抵触れることが出来たのではないかと思います。
まあ所詮独学である私自身の知識量の限界もありますので明言は出来ませんが、気が向いた時には他のコードについてまとめた記事も書くかもしれません。

なんにせよ、音楽というのは思いのほか理屈や理論で成り立っているまさに”音学”であるというのが私の考えですので、この記事を通してそれが伝われば幸いです。

(参考書籍)
納浩一 著ージャズ・スタンダード・セオリー

遠藤尚美 編・著ーピアニストのためのジャズ・ピアノ理論の基礎

注釈   [ + ]

1.トニック・サブドミナント・ドミナントについてはこの記事を参照。
2.Cメジャーキーだと構成音はF#-A-C-E。これはFmaj7のものとほとんど被るため同じような響きが得られる。
3.ⅥのAmとも被ります。
4.完全採譜 ビル・エヴァンスが弾きたくて (模範演奏CD付)より引用