クロモジでお茶を作ったら最強のハーブティーが出来た

ヨモギやドクダミ、変わったところではカキドオシなど、特有の香りを持った野草たちは大抵がお茶として加工され、効果のあるなしはさておき健康食品として利用されているような印象があります。


これは去年作った自家製ブレンド野草茶。薬効のある草をこれでもかとばかりに混ぜ合わせたキ〇ガイ飲料です。

ただ、私も以前にドクダミとヨモギでお茶を作って飲んだことがあるのですが、お世辞にも美味しいと言えるようなものではなく、香りと言うよりはむしろニオイと言った方が正しいような独特の風味が嫌で、一度試した後は”もう良いや”、と言う感じで現在に至る。

まあ、健康食品と言うのは往々にして苦みがあったり、嫌なクセがあったり、モノによっては舌がピリピリしたり、良薬口に苦しといった一般的なイメージからも”不味いがゆえに体に良いのである”と言われればそういうものかと納得してしまいますし、そもそも 体に良い上に美味しい などと言う都合の良いものがそこらに大量に生えているならば、この世知辛い世の中では既に絶滅していること必至。仮にあったとしても、それが現代まで残っているということは、見た目が瓜二つな即死レベルの毒草があったり、没個性的な見た目で特徴に乏しかったり、素人には見分けられないようになっていることでしょう。

というか、キク科で割と親しみのあるヨモギはともかくとして、一般的に有名なドクダミ茶ですら飲む前から拒否反応を起こすレベルで嫌がられることもあるのに、その上にまだ”万人受けするような良い香りを持った”なんて条件まで満たすような植物がある訳ないですよね。そんなもん生えてりゃ、皆採りに行くわw って感じです。

そうですよ。美味しくて香りも良くて、体にも良い。ついでに簡単に見つけられる、なんて、そんな都合の良いものがそこらに生えてるわけ・・・

生えてるわけ・・・

・・・

生えてるんだな、これが。

野生のハーブ”クロモジ(黒文字)”とは

林の中で独特な花を咲かせているこの植物は”クロモジと言い、樹皮が黒く、斑点が文字に見えることが名の由来で、この特徴から簡単に見分けることが出来ます。
何を隠そう、この植物の枝は高級楊枝にも使われており、枝葉には和製ハーブと呼んでも差し支えない爽やかな非常に良い香りがあるのです。

クロモジ 樹皮
黒い皮の白い斑点が文字に見えるなら”シロモジ”の方が正しいのでは?と思うが”クロモジ”。ちなみに”シロモジ”と言う植物も別に存在する。

また、諸説ありますが全草に保温や健胃、頭髪の脱毛予防などに薬効があるとされ、現在でも本種の成分を抽出し、入浴剤やアロマ、シャンプー、お茶として販売しているところもあるという由緒正しい薬草…もとい”薬木”です。

この記事を書いているのは4月の中頃なのですが、このクロモジはちょうどこの時期、花と新芽がほぼ同時に出てくるのでタイミング的にもバッチリ。
というわけで、今回の記事ではこのクロモジからお茶(ハーブティー)を作って美味しく頂いてみようかと思います。

自家製クロモジ茶を作ってみよう!


クロモジの群生。分かりにくいが奥までずっと生えている。

早速、お茶を作るために、近くの山にクロモジを採取しにきました。


葉の付け根が赤くなるのもこの植物の特徴のひとつ。

Twitterのフォロワーさんに教えて頂いたのですが、クロモジ茶は島根県の隠岐島では”ふくぎ茶”と呼ばれ、古くから地元の人々に愛されてきたようです。この”ふくぎ茶”はクロモジの枝と葉の両方を使って作られるらしいので、今回はそれに乗っ取って両方を採取していきます。


付け根から枝ごと採取する。ただし採りすぎて枯れないよう1つの主枝から2~3本程度に抑えよう。

ハサミがあればベストですが、葉の生えている方向と逆に力を入れてやれば手でも簡単に摘めます。
この時点で葉枝を鼻に近づけてみると、非常に爽やかで、セリ科やウコギ科の山菜類とはまた違った万人受けしそうなハーブ系の香りがあります。

クロモジは採りたてを生茶にもできるらしいですが、乾燥させることでより香りと味が良くなるらしいので、それを見越して多めに採取しておきましょうか。

というわけで、採ってきたものがこちらになります。

先述の通り、これらを乾燥させてからお茶に加工するのですが・・・風通しを良くして乾きやすくするために葉と枝は分けておきます。
他サイトに特に記述はありませんでしたが、今回は花もそのまま使いましょうか。まさか花だけ毒があるって訳もないでしょうし。

どうでも良いですが、指で葉をつまんでチマチマ外していく作業はなかなか熱中してしまうものがありますw
まあ慣れるにつれてどんどん雑になってきそうですが、初回くらいは綺麗にやっておきたいものですね。

あとはこれらをサッと洗ってバット等に乗せ・・・

風通しの良い日陰に放置。
あまりカリカリに乾燥させてしまうと濃くなりすぎるような気がしますし、半生くらいに仕上げたいところ。完全乾燥で1週間くらいとの記述を見かけたので、3~4日くらいを目安にします。

・・・1週間後・・・

結局1週間たっちゃったよw
いや決して忘れてたわけではないんですけどね。この時期は山菜採りとかいろいろ忙しくて…(言い訳)

とにもかくにも、これで乾燥工程は終了です。
今回は期間中、一度も雨が降らなかったので綺麗に乾きましたが、夏場や梅雨時に作ると最悪カビが生えることもあるらしいので、オーブンなどを使用するのも一つの手段かも知れません。私がチャノキの葉を使ってお茶を作った際には100℃で30分くらい温めると綺麗にできたので、オーブンで乾かす場合にはこれを基準に量や葉のサイズで時間調整してください。

普通のお茶の場合にはここでフライパンなどを使って仕上げ乾燥するのですが、クロモジ茶の場合はこのままの状態で煮出します。
綺麗に色が出るまでじっくりじっくり火にかけましょう。

どんなお茶が出来るのか楽しみですね・・・

煮詰めていくと、芳香剤のような強めの香気が漂い始め、色もだんだんと黄色くなってきました。
ネットで調べた際は赤っぽくなるという情報を目にしたので、製法などにより差異が出るんでしょうね。

ある程度色が出たら、出がらしを取り除いて完成です。さっそく湯呑に注いで飲んでみましょう。

見た目はほとんど普通のお茶と変わりませんが、香りは全く違います。
味は・・・少しだけ苦みというかエグミのようなものがあるものの、サッパリとしていてなかなかのもの。ただ、飲んでいて少し気になったのですが、口に含んでいるとメントールのようなスッとする感じがあるんですよね。
夏場に冷やして飲めば気分爽快かもしれません。

せっかくなので葉を空煎りしたものも試してみます。クロモジの”ほうじ茶”ってやつですね。

味は香りは先ほどと少し異なり、ハーブ様の爽やかな風味の中にも、ほうじ茶特有の香ばしさが混ざっています。上で感じたようなメントール感は薄まっていますが、単純な味としてはこっちの方が好きかもしれません。

と、いうわけで、今回はクロモジを使ったお茶を作って飲んでみる…と言う内容でやってきましたが…健康云々はともかくとしても、それなりの結果が得られたと思います。
まあ個人的な感想としては、普通のお茶のほうが美味しいような気もしますがw