野生のチャノキ”山茶”の新芽で作った紅茶が飲みたい!

お茶の原料でおなじみのチャノキですが、ダージリンやアッサムといった紅茶も同様に、この植物から作られているのはあまり知られていないような気がします。
・・・いや、導入からいきなり知識自慢かよとか思われるかもしれませんが、私は実は紅茶の類が大好きでかなり前から自分でも作って飲んでみたいな~という願望があったんですよね。

で、以前に書いた記事でも少し触れましたが、このチャノキと言う植物、地域によっては山間部などにごく普通に自生しているんですよ。
その際すでに私の家の近所で自生種が見つかっていたので試してみたのですが、残念ながら時季外れの古葉を使ってしまったためか紅茶なのか緑茶なのか良く分からない謎飲料が出来てしまったので、ちょうど新芽の出始める今、リベンジを果たすために採取の様子を含め、またしても記事にしてみようと思います。

チャノキの見分け方など

と、その前に、いくら自生種が近くにあったとしても、ほかの植物と見分けることが出来なければどうしようもないですよね。


山野に自生するヤブツバキ。初秋から冬の間に花をつける。

チャノキは椿の仲間なのですが、現在日本にある椿類のほぼ全てが山野にも普通に自生する”ヤブツバキ”をもとに作られたものであり、当然見た目も非常に似ています。

もっとも簡単な見分け方は秋~冬につく花を見ることですが(チャノキの花は白、ヤブツバキは赤)、困ったことに美味しい茶葉の収穫時期は春から夏で、あらかじめ見つけておかなければこの方法は使えません。

そこでここでは葉を使った見分け方をご紹介します。

上の画像を見てもらえばわかると思いますが、ヤブツバキとチャノキは葉脈の深さがまるで違い、さらにチャノキのそれは独特の形をしています。

また、鋸歯(葉の淵のギザギザ)もヤブツバキのほうが若干浅く、ここを比べてもらえれば割と簡単に見分けることが出来るでしょう。

2種とも常緑樹ですので、もしこの記事を読んで試してみたい思った方はこの方法を使うとよいでしょう。

山の中の茶畑

少し前置きが長くなってしまいましたが、いよいよここから本題。
導入部でも書いた通り、ウチの近所には自生種のチャノキ(山茶と呼ぶらしい)が生えており、採り放題と言っても良いほどあっちこっちに乱立しております。

上は近所の里山の写真ですが、登山道沿いに奥の方までずっと見える植物がありますよね?

これがチャノキです。

パット見だと生垣のようにしか見えませんが、葉にはしっかりとチャノキの特徴が表れています。
まあとはいえここだけだと1シーズン採った程度でなくなってしまうため、”採り放題”というのは大げさだろ…と思われるかもしれませんが

そこから10㎞程離れた別の山にも

さらにその裏手にも

そして、このような山道のすぐ脇にすら。
どこへ行ってもチャノキ、チャノキ、チャノキです。

チャノキと言うのは本来、中国から輸入されてきた種がもととなって栽培されているものですから、普通に考えれば近所にある茶園から脱出したものが野生化しているのでしょう。
ここまで分布を広げているとなると何となく問題になるような気もしますね…
しかし残念ながら、一個人である私に出来るのは葉っぱを採って成長を抑制するくらいなので、それまではせいぜい楽しませて働かせて頂きます。

画像はチャノキの新芽です。
時期的に今年初めて出たものだと思うので、これを使って作った紅茶は”ファーストフラッシュ”と呼ばれるもっとも美味しいものになるはず。(日本茶だと”一番茶”と呼ばれます)
在来種ではなく、そういう意味で遠慮はいらないのでガンガン摘んでいきましょう。

さっそく紅茶を作る

さて、あれから数時間ほどでやっとこれだけの茶葉を収穫することかできました。
これを今から紅茶へと加工するのですが、リベンジと言うことで、出来るだけ以前の記事と同じ条件にするためその工程は

萎凋(しおれさせる)→揉捻(もむ)→発酵→火入れ(発酵止め)→仕上げ乾燥

という形をとりたいと思います。

まずは萎凋から。
茶葉をサッと洗い、ゴミを落としてからバットや竹ざるに並べ、風通しの良い場所で萎れさせます。この工程を長くとれば長くとるほど発酵し難くなるのですが、今回のように一番芽のみを使う場合は香りを高くするために微発酵で作るため(萎凋を長くすると香りが強まる)、通常より長めの2日弱ほどの期間置いておこうと思います。

とはいえ、発酵度合いは好みの問題もありますので、何度か試しに作ってみて少しづつ調整すると良いでしょう。

そして、1日半たったものがこちら。

・・・なんか乾きすぎじゃね?

どうもウチの軒下の通気性が良すぎたのか、部分的には完全に水分が飛んで、カラカラになってしまっています。
この時点で軽く嫌な予感がしていますが、途中でやめて捨てる訳にも行かないので、続行。

ちなみにこの時点で嗅いでみると、全く熟していないバラ科の果物のような酸っぱい香りがします。と、いっても如何にもアミグダリン!って感じの杏仁香ではなく、あくまでも酸味のみを感じる香りです。
しかし、これが紅茶の香りかと聞かれると・・・うーん、どうだろう?

萎凋が終わったら、茶葉をザルに開けて、手でしっかりと揉んでやりましょう。
内側の水分が外に染み出てくるよう、じっくり揉捻します。

シナシナになるまで揉んだら、お次は発酵です。
正直この工程はそれほど難しくないらしく、ザルに開けた状態のまま濡れタオルを被せて、半日も置いておけば良いらしいです。
強めに発酵した紅茶を作りたい場合は1日ほど期間をとりましょう。

ー約8時間後ー

はい。
先ほどに比べると多少、赤みが増していますね。
香りに関しては先ほどより落ち着いたものの、やはり酸味の成分が強いです。珈琲とかなら酸味の強いものが上質とされることもありますが、紅茶に関してはどうなんでしょうね。私はあまり酸っぱい紅茶なんて飲みたくありませんが・・・

この時点で発酵は終了しており、9割がた完成したようなものですが、このまま放っておくと際限なくどこまでも酸化していってしまうので、仕上げに発酵を止めを行います。
Googleで”紅茶 作り方”と調べるとトップに出てくる自宅で美味しいお茶が作れる!紅茶の作り方というページに従い、オーブンを120℃に予熱しておきます。

同ページ内にはその後”10分間ほど加熱する”と、ありますが、この時点でこの乾き具合だと、そんなに加熱したらどう考えても消し炭になりそうな勢いなので、とりあえず5分間で様子見。

バット(オーブン用・耐熱)に並べなおして、レンジにブチ込みます。
さあ、大丈夫かな?

ティーン!

やっぱり焦げてんじゃねえかw

いやしかし、まだ分からない。私自身、新芽のみを使った紅茶なんて飲むのも見るのも初めてですし、もしかしたら本来こんな感じの色になるのが正解なのかも。ね?
まあ、とりあえず淹れてみましょう。


机の色と完全に同化している。

香りは…まあ思ってたよりは悪くないですが、紅茶っていうより、どちらかと言えば”ほうじ茶”に近いですね。
そして意外なのが、あれほど強かった酸っぱいニオイが消えていること。もしかすると酵素が働いているタイミングで出る、特有のものだったのだろうか。

では、早速飲んでみましょう。



うん。
前に作った謎茶と大して変わんないわ(まだ見てない人はリンク参照)

強いて言えばちょっとだけほうじ茶風の香りが強まったって程度で、紅茶特有のフルーティーな香りや、風味はほぼ皆無といって良いでしょう。

ああ、せっかく良い茶葉だったのに勿体ねえ。こんなことなら緑茶でも作っときゃ良かった。

と、一瞬だけ思いましたが・・・

 


萎凋期間は1日弱、発酵期間は8時間強。全体的に、先ほどより赤っぽくなっている。

数日後、めげずに再トライ
まあ、ここで止めたらまた来年になっちゃうしね。

工程などは2度目になるので省略しますが、ここでは前回の失敗を踏まえて萎凋工程・発酵止めを短くし、逆に発酵工程を長めにとりました。
ちなみに今回の工程で何となく感じたのですが、萎凋後の揉捻は出来るだけ念入りに、素手でやった方が発酵が良く進むようです。これは、参照サイトに書かれているような”茶葉の組織が壊れる”と言う理由のほか、手の熱によって温まることも原因の一つだと考えられます。ですので、ガッツリ発酵させたい場合には出来るだけ手袋などは使わない方が良いでしょう。

さっそく淹れてみました。
一眼レフの補正を差し引いても、先ほどのものより濃く、色合いも紅色により近いのが分かります。

いただきます。

・・・お!
飲む以前に、鼻先まで近づけるだけでも非常に良い紅茶の香りがして、当然ながら口に含むとそれはより強くなります。、それも安い紅茶のような香料的なものではなく、上品で、飲み込んだ後はスッと引いていくような爽やかなものです。
さらに、深く発酵させたからか、全く渋みも
なく、ほんの少量の砂糖を入れただけでも甘味が感じられ、良い意味でクセが無いですね。
(この後、紅茶嫌いの家族にも飲ませてみましたが、店で飲むものより美味しいと好評でした)

これは正直思っていたよりも断然ウマいですね。何日もかけて作るだけの甲斐はあります。

自分で作るとより美味しい。そして楽しい。

というわけで、一度は失敗したものの、結果的には前回の記事へのリベンジが十分に果たせたんじゃないかと思います。

Wikipediaを見ていると、チャノキは九州や四国の一部地域にのみ野生化している、というような旨の文章が書かれていますが、実際は私の住んでいる京都や、お茶の産地である静岡。また、他の方のブログなどによると東京の河川敷などでも野生種が確認されており、気候的に栽培が出来るような場所であれば割とどこでも見られるらしいので、皆さんも探して作ってみて下さい。

山菜採りやキノコ狩り然り、自分で何かを採って・作って・食べる。というのは、探索自体の面白さも相まって、レジャーとして見ても非常に楽しいので、オススメです!