ヤブカンゾウは新芽も美味い!採り方・食べ方・見分け方

2020年4月10日

去年からこのブログを見て頂いている方からは”お前またヤブカンゾウかよ”と言う声が聞こえてきそうですが、その時は蕾をメインで扱ったので、今回はヤブカンゾウの”新芽”を題材にして記事を書かせていただきます。

カンゾウ類のあれこれ

まず、一般に野生種を見つけることのできるカンゾウ類(甘草とは異なる)大きく分けて二種類。私の家の近所にもヤブカンゾウノカンゾウというのがありますが、その両方共が食用になります。


ヤブカンゾウの花。園芸品種でもないのに八重咲の綺麗な花を咲かせる。

初夏、ヤブカンゾウは上のような八重咲の花を咲かせる一方、ノカンゾウの方は一重咲きで、前者と比べると色も少し薄い花を控えめに咲かせます。どうしてもどちらか見分けたいというならば花が咲くのを待つと良いでしょう。


スギナに紛れて群生するヤブカンゾウたち。

上はヤブカンゾウの新芽の様子です。ぱっと見だとヒガンバナ科の毒草たちに似ていないこともありませんが、この時期に葉が見られる”スイセン”・”スズラン”などはどちらも花期を迎えているはずなので、それほどややこしくはないはずです。
またカンゾウ類はこれらの毒草と比べて全草が薄っぺらい(葉が横にのみ広がる)ことのほかに、根本が若干白っぽくなりますので、これらの点でも見分けられます。

採取する際には前述の白くなった部分からナイフで切り取りましょう。地下にある丸い塊根も食用になりますが、採りすぎると次から生えてこなくなるので自重します。
ちなみにある程度成長したものは根元が固くなっており、手でもひねるようにして折り取れますがちょっとコツがいります。

ナイフを持っていると職質が怖いという人は、代わりにカッターナイフや園芸用のハサミなどを携帯しておけばよいでしょう。

これらは河川敷や湿り気のある山道、田舎なら普通に道路わきに生えていたりもしますが、新芽を食用にする場合には出来るだけ綺麗な小川沿いに生えているものを選ぶのが無難です。
今の時期は桜が満開で花見に来た人が通りかかることもありますが、別に悪いことをしているわけでもないので黙々と採取しましょう。


同じような時期。場所にはカラシナや菜の花が咲いていることもある。ついでに採って帰りましょう。

ヤブカンゾウ美味しいです(^q^)

というわけで採取してきたものがコチラ。

だいたい5~60本ほどでしょうか。
匍匐茎で増えるだけあって一か所で大量に採れるというのもポイント高いね。

これを今から実際に調理していこうと思うのですが、その前に。


カメ五郎さんも動画内でかじってましたね。

根元の白い部分は生でも食べられるらしいので試してみましょうか。
いかにも瑞々しくて美味しそうですし。

いただきまーす。


根元で葉がつなぎ留められていたのか。噛みついたらバラバラになりました。

ザクッ、ジャキジャキ…

ほほう。
擬音から想像されるほどの固さもなく、ほんのり甘味もあってこれは中々のものですね。

蕾がアスパラっぽい風味だったので新芽も生だとそんな感じなのかな~と思ってましたが、どちらかというとサニーレタスのような葉野菜っぽい風味があって、この部分だけサラダにすればかなりイケるかも。
野草系って生で食べると変な草っぽいアク味が残ることが多いんですが、これに関しては全く嫌味は感じないです。素直に美味い。

※水辺に生えているものは肝蛭が怖いので、しっかり洗ってからよく噛んで食べましょう。

さてさて、それなりのポテンシャルを秘めているということが分かったところで調理に入っていきましょう。まずは基本のお浸しから。

かなり大きく育ったものも含んでいたので、ちょっと長めに茹でてから麺つゆ・白だしで味付けしたのですが・・・歯ごたえがすごい
葉がツルツルしているので歯の表面と擦れて”キュッキュッ”という、およそ食事をとっているとは思えないような音と、長く噛んでいると顎が付かれるレベルの固さがあります。が、しかし、味には全くクセがなく、飲み込む直前にフルーツ系?の爽やかな風味が香ってきます。

これはこれでまあ美味しいですが、もっと若い芽を使った方が食べやすいような気もしますね。あと、やっぱり下の方の白い部分と葉の部分で風味や食感がかなり違うので、分けて調理するのがベストかも。

図鑑に調理例として載っていたので三杯酢でも和えてみました。先ほどの経験を活かし、葉の部分だけを分別した後、かなり長い間下茹でをしてから 酢・みりん・醤油(2:2:1) を入れて混ぜ合わせたものです。下の白い部分は色々と悩んだ結果、やはり生のままのが一番良さが活きるのではないかと思ったので、そのままマヨネーズを付けて頂きます。

生の方は齧ってみたときと同様、葉野菜系の甘味と風味があるのでマヨネーズと合わないはずもなく中々のものです。
酢の物の方は…まあ味自体はサッパリとしていて悪くないんですが、やはり葉っぱの固さが気になりますね。ギュッと固く絞って盛り付けているので、必然的にまとめて一気に食べることでより歯ごたえが増しているのだろうか?

というわけで細かく刻んでからスープにも入れて見ました。しっかり煮込むことで葉の繊維質が溶けて柔らかく、食べやすくなるので、個性はあまりありませんが万人向けに調理するならこの辺りが落としどころかもしれませんね。


途中おかわりも採りに行ったのでまだまだ残っています。

と、まあこんな感じで、単体で食べるのであればちょっと工夫が必要かもしれませんが、なんせ全くクセが無いので他の葉野菜類が見当たらないときの代用品としては十分に利用可能かと思われます。
茹でてから冷凍すれば保存も効きますし、群生するので量もそこそこ採れて、日々の食生活にナチュラルに組み込みやすいという意味ではかなり優秀な山菜なのではないでしょうか。

それにしてもこれは生えすぎだけど。