ムラサキカタバミの根っこを食べてみたら意外な味だった

2020年5月30日

春に咲く花と言えば、あまりにも多すぎて「どれか一つをパッと挙げて下さい」と急に言われても、逆に悩んでしまう人がほとんどでしょう。
しかし、その中でも道を歩いていて、あるいは雑草の生い茂った庭を見ていて。特に意識せずとも目に付くような、派手な花をつける植物というのは野生種の中には限られており、その限られたもののなかに”ムラサキカタバミ”というのがあります。

ムラサキカタバミ

本種はもともと南アメリカ原産で、日本には観賞用として輸入されてきたものが現在では野生化している…という、いわゆる”帰化植物”の一種なのですが、観賞用と言うだけあってなかなか雑草とは思えないような綺麗な花を咲かせてくれます。
しかも、この花はいったん夜になると萎むのですが、そのまま放っておけば日のさす時間帯になるたび、律義に毎回開花するのです。

これだけ聞くと、なんて良い植物なんだ! と感動して、早速ウチの庭にも一輪…なんて思う方もおられるかも知れませんが、それはやめておいた方が良いでしょう。と、言いますのも、コイツは外来種なだけあって非常に強い繁殖力を持っており、環境省により要注意外来生物に指定されているほどのやっかいな雑草だからです。

しかも、このムラサキカタバミは、その辺に生えている植物とは異なり、種子ではなく”木子(きご)”と呼ばれるユリ科の鱗茎と同じような方式で増殖するため、完全に駆除するためにはいちいち根を掘り返す必要があるため、今現在においてもその生息域をどんどんと広げています。

逆にこのような繁殖方法を身につけたからか、花が咲いた後にも種子は作らないのでその点は安心ですが、単一個体のみでこれだけ生息域を広げているというのは恐ろしいものがありますね。

ムラサキカタバミの木子とは?

上の見出しで、本種は木子で増える、と書きましたが、それだけだとイメージがわきにくい人もおられるかと思いますので、実際に掘り起こして観察してみましょう。

これはウチの庭に生えているムラサキカタバミの株です。
この家に引っ越してきたころから生えているので、まさに前の住人が「綺麗だから持って帰ろう」と植えたものかと推測されます。そう考えると、コイツは10年間も私の身近で生き続けてきたということになり、なんとなく感傷的になるような、ならないような。

まあ結局、抜いちゃうんですけどね。
外来種に慈悲はない。

ムラサキカタバミ 根 木子

掘り返した根を洗ってみると、中央の大きな鱗茎の傍に、いくつも小さな欠片が付いているように見えます。
これが”木子”です。

この欠片が成長して大きな鱗茎になり、そこからまた葉茎が成長していく…という流れで、株が増えるにつれ加速度的に増殖していく訳です。怖いですね~。


採ったものは捨てず、とりあえず水につける。山菜採り好きの悪い癖。

・・・しかし、こうしてじっくり観察して見ると、この鱗茎、

何となく美味しそうに見えてきます ね。(え?)

いやまあ、見た目だけだとユリ根っぽくもありますし、実際、本種が属する”カタバミ科”には、スターフルーツを始めとした食用になる植物もいくつか含まれているので、毒性を持っているなんてこともないでしょうし。
なにより、根が食えるのならば、ひたすら掘り起こして駆除の一助にもなるような気もしますし。(なんか言い訳がましい)

…ちょっと試しに食べてみましょうか。

というわけで本題。

先ほど 毒性を持っていることはない と言いましたが、実際にはカタバミ科の植物は”シュウ酸”と呼ばれるアク成分を持ちます。
まあ、これはタケノコや、ほうれん草などにもごく普通に含まれる成分で、毒と言うほどのものでも無いのですが、そのまま食べてしまうと尿路結石の原因にもなるため、今回もしっかり水につけてアク抜きをしてから調理を行います。

シュウ酸は水溶性ですので、水にさらすほか、茹でたり煮たり蒸したりしても抜けますが、まあ一応、下準備と言うことで。

…では、いよいよ実食してみましょう。

見た目がユリ根っぽいということで、シンプルに蒸してみました。
嗅いでみると、掘り起こした際の若干酸っぱいような香りがそのまま残っている感じで、あまり食指の動くようなものでもありませんが、味はどうでしょうか。

いただきます。

・・・シャクシャクシャク

シャクシャク・・・おっ。

なんか甘い味がする。

まず、食べようと持ち上げた際に気づいたのですが、根の裏を見ると中心に木質化したのようなものがあり、その外側にもオレンジの固い層があったため、外側の白い鱗片を少しづつ剥がして食べました。
口に入れてすぐ、噛み始めて見るとこれはまさにユリ根に近いシャクシャクとした食感があり、でんぷん質の甘味と粘り気のようなものが感じられ、正直なところちょっと美味しい
しかし口に入れた瞬間、例の酸っぱいような風味が軽く香るので、これが苦手って人はちょっと無理かもね。

あと、なにより可食部が少ない。
今回採取したものはムラサキカタバミの根としてはかなり大きなもののはずなのですが、それでも前述の芯のせいで実際に食べられるのは1~2gあるかないかってところです。食材として考えると、これは致命的ですね。

味自体は悪くないので、肥料を与えて肥えさせたり、花期が始まる前に収穫するなりすれば、それなりに利用価値のあるものだと思うのですが…現実的には難しいかもしれません。

まあ、せいぜい 駆除ついでに味見してみる というくらいが落としどころかなあ。

食味評価:B
希少価値:F

総合評価:C (安定供給できれば B)
(五段階評価)