クレソンに似た”ニシノオオタネツケバナ”の食用について

渓流沿いなどの水辺に生える、アブラナ科の植物代表と言えば

そうクレソン!
・・・と言いたいところですが、このような環境にはよく似た別の植物が群生している場合があります。

それがこのニシノオオタネツケバナ
本種はアブラナ科オランダガラシ属であるクレソンとは異なり、その辺の道沿いなどで見られるタネツケバナにより近い仲間なのですが、とにかく見た目が非常に似ています。

上の画像くらい大きければ、個体あたりの葉の先端が細長い事や、種の付き方などで見分けることは容易ではあるものの、小さい個体・大きい個体が入り混じって群生している場合には知らないと確実に誤同定してしまうでしょう(かくいう私もTwitterで教えてもらって初めて知りました)


写真ACより

例として、上がニシノオオタネツケバナ、下がクレソンです。
同じアブラナ科だけあって花も良く似ているうえ、葉の形も良く見比べれば前者が多少大きいものの、ぱっと見では判断がつきません。というかそもそもクレソン自体、野生種はかなり個体差の大きい植物なので、ネットで調べれば葉が通常よりも長いものや、葉脈部分が赤みを帯びるもの、草丈の大きいものなど色々とヒットし、どれが正解なのかイマイチ分かりにくい部分があります。
さらに言えば、前者の近縁である”オオタネツケバナ”はニシノ…と比べて葉が丸く、よりクレソンのイデアに近い見た目をしていて、こっちはこっちでややこしいんですよね。

と、まあ、これらからも分かる通り、両者を確実に同定するのは中々に難しいものがあるのですがしかし。普通クレソンを見分けたい! あるいは探したい! と思う場合は山菜として食べることを目的に用いることがほとんどだと思うんですよね(よほどの植物好きを除き)。


ニシノオオタネツケバナの梅肉ポン酢和え。癖もなく、茎の上の部分はサッとゆでるだけで食べられる。

そういう意味ではニシノオオタネツケバナ、あるいはオオタネツケバナも他のアブラナ科植物同様、毒があるということもなく普通に美味しく食べられるので、ある意味ではそれほど躍起になって見分ける必要もないような気がします。
まあ、こちらはクレソンと比べると辛みが弱く、イマイチ個性にかけるという点が個人的には物足りませんが、これも逆に言えばこの点で見分けておいて、次以降の採取に役立てる…という使い方も出来るので、むしろ一度は味を確かめておいた方が良いとすら言えるのではないでしょうか。

何せクセが全くないので、食べてみると案外こっちの方が好きかも・・・となる可能性も無きにしも非ずです。