薬草としての山菜・野草の利用法~胃腸編~

2019年4月1日

山菜採りやキノコ狩り、山登りなどのいわゆるアウトドア系の趣味はほかの趣味と比べると肉体的、精神的な面で疲れることが多く(その分楽しいことも多いんだけどね)
興味はあっても体がついていかない・・・という人や、胃腸が弱いので実際に道端に生えていたものを食べるということに抵抗があるという人も多いだろうと思う。

しかし、食用として利用される野草の中には生薬として使われているものも多くあり、病院で処方される漢方薬の中にもとても身近な普段は雑草と呼ばれているようなものが入っていたりもする。

例えば、タンポポの根っこは乾燥させて蒲公英根(ほうこうえいこん)という名前で解熱、健胃、利尿薬として第三類医薬品に登録されているほか、風邪をひいたときに服用する葛根湯の主成分である葛の根は山中に入ると簡単に見つけることができる。

この記事ではこれらの身近な薬草を薬効別に複数に分けて出来るだけ詳しく紹介していこうと思う。

その中でも特に今回は”身近にあるものを食べる”という当ブログの最も大きな目的に直結する消化器の働きに関係するものについて書いていく。

1.フキ(生薬名:款冬花 )

フキというとスーパーのお惣菜コーナーなどでも売られているので山菜というより野菜として普通に利用している方も多いと思うが、もう少し暖かくなると沢沿いなどの湿り気の多いところに群生しているのを見かけることができる。

自生しているフキの多くは苦みが強いのでもちろんあく抜きをすることも大事だが、苦みは唾液や胃液の分泌を促進させるほか芳香性健胃の効果も期待できるため、ある程度苦みを残した料理にすると更に良いだろう。

また、栄養価としては水分とともに余分な塩分を排出してくれるカリウムを特に多く含むため、高血圧にも効果があるほか夏場には発汗を促し体温を下げる効果もあるのでこれからの時期には特に重宝する。

 

2.オケラ(生薬名:和白朮)

「山でうまいはオケラとトトキ」と言われるほどに美味しく栄養価も高い山菜。

また、日本全国に広く分布し日当たりの良い場所であればどこでもとれるので利用しやすく、根茎を乾かしたものは白朮(びゃくじゅつ)という名で健胃・利尿に効果がある漢方薬として用いられる。

おひたし、ごまあえ、クルミあえ、白和えや、天ぷら、煮物など、どんな料理にも合う。

3.アマドコロ(生薬名:玉竹)

ヤマノイモ(自然薯)にも似た根茎を食用にする。

名前の通り甘みがあり、天ぷらや薬用酒として利用できるほか漢方薬としては根茎を刻んだものを3~4日天日干ししたものを服用すれば胃のただれや滋養強壮などに効果がある。

4.ドクダミ(生薬名:十薬)

初夏になると家の庭などにも雑草として生え、特有の香りに悩まされている人も多いのではないだろうか。

しかし、このドクダミ薬草としては非常に優秀で抗菌・整腸・消炎作用などいろいろな効果が期待できるので、生薬名の十薬というのも十種類もの効果があるためにつけられたものだという話があるくらいだ(諸説あります)。

特に生のドクダミに含まれるデカノイルアセトアルデヒドという臭気成分は白癬菌ブドウ球菌も殺す作用がある(Wikipediaより)

として重宝される。

ただ腎臓の悪い方は飲み過ぎると高カリウム血症になる可能性があるので気を付けましょう。

5.山栗(生薬名:栗毛毬)

秋になるとスーパーで売られるほか山に入ればいくらでも拾える栗だが、これも立派な生薬として利用できる。

特に鬼皮(外側の皮)だけを剥いて内側の渋皮を残したまま甘く煮る栗の渋皮煮は食物繊維が非常に豊富なため下痢止めや整腸作用が期待できる。

まとめ

今回の記事では特に胃腸疾患に効果のある山菜を中心として紹介してきましたがもちろん実際に山に入ればこのほかにも多くの生薬を見つけることができる。

体が弱くて今まではあまり気が進まなかったという人もこれを機に近くにある自然と触れ合ってみてはいかがだろうか?

↓今回参考にさせていただいた書籍など