剪定で余ったサザンカの蕾が最高のハーブティーになった。

2021年11月23日

家には10年以上も前、越してきた頃からサザンカの木が植わっていて、これは丁度道路際の側溝と庭との境目から生えているのだが、どこから栄養を摂っているのかと思うほど立派に育っている。

あまりにも立派すぎて毎年通行人の邪魔にならないよう、マメに剪定したり、摘蕾したり、管理をしているのだが、その度まだ咲く前の蕾やいきいきとした新芽を見て何かに使えないものかと考えていた。


剪定した枝ですら立派で、そのまま土に刺せばグングン育ちそうだ。

サザンカとは、漢字で書くと「山茶花」となるように新芽をお茶にすることが出来るそうで、チャノキと同じツバキ科の仲間であることからもそれは納得できる。
しかし、新芽をそれほどの量取るのは樹勢の維持的にも難しいし、なにより普通すぎて面白くない。

そこで今回は、新芽の代わりに摘蕾した蕾を使い、お茶を作ってみようと思う。

というと全くの行き当たりばったりのように思われるかもしれないが、しかしサザンカの蕾はかなり香り高く、意外と中が締まっていて硬さもあるので、チャノキと違ってカフェインやテアニンなどの成分を含まない新芽よりも、案外茶には適すのではという一応の考えはあるのだ。

サザンカ 蕾
顔を近づけると甘い香りがして、見た目も美しい。

加工の工程でその香りや見た目にどのような変化が起こるかは分からないが、成功すれば毎年楽しめるものなのでやってみる価値はあるだろう。

蕾で作る香り高いハーブティー

サザンカの蕾
多少混ぜると香りも強くなると考え、開きかけのものも収穫した。

というわけで、これが収穫した蕾である。

今回の製造工程であるが、そのまま先に乾燥させてしまうと開花する恐れもあるため、先に火を通し細胞を死滅させてから乾燥させる方法をとる。

また、先にも書いたとおり、蕾は葉と異なり硬さがあるため、乾燥後は挽いて粉にするのも良いかもしれない。
まあ、そこは乾燥させてから考えても良いだろう。

さっそくフライパンで煎ってみると、徐々にケーキのような強い甘い香りがしはじめ、更に火を入れるとハーブというかお菓子というか、何とも言えない芳香に変わった。

正直このまま食べたいくらいの良い香りなので、期待大だ。

色も若干茶色がかり、これ以上やると焦げそうなので火を止めた。

コーヒーのように焙煎の深さや方法により味や香りが変わりそうで、成功すればその辺も含めて試行錯誤も楽しそうだ。
…成功すれば。

サザンカ お茶

あとはザルに乗せ、当ブログお馴染みの軒下で放置する。

現時点ではミルで挽こうと考えているので、カリカリになるまで乾燥させるつもりだが…なにせ全く初めての試みなので、様子を見つつ無理そうなら別の手段を考えよう。

かれこれ4日ほど置いたものがこちら。

見た目にはあまり変わりないように見えるが、半生の時のような中身がしまった感じは無くなり、内部により水分が多いためか、蕾の外側の部分が遊離しているようなフワフワした感触がある。

てっきり、乾燥させれば豆のように固くなるものと思っていたが、これだとミルで挽くのは難しそうであるため、普通のお茶と同じく急須で淹れることにした。

抽出力を上げるため軽く火を入れ

急須にいくつか入れ、お湯を注ぐ。

数分待つと。

完成。
色はまあまあ出ているようだが、果たして味はどうだろう。

気になる味は…

さっそく一口飲んで見ると、まず初めに感じたのは花の蜜のような香りとわずかな甘さ。
ふつう、サザンカの花を嗅いで強い香りを感じることはないが、お茶にしてみると、なるほど山茶花というのはこのような香りなのかと実感出来る程度には風味が出ている。

そしてこの香りは十分ハーブティーとして通用するほどのレベルであって、蜜のみではやや甘味に欠けるものの、リコリスなどを添加すればそのままティーバッグとして売り出せるのではないか。家庭で作る場合でも、もう少ししっかり乾燥させて抽出力を上げてから、ハチミツなどを少量混ぜて飲めば既製品並みに美味しくなることは間違いない、とそう感じさせてくれるくらいしっかりしたハーブティーである。

いや、正直に言って、これは今まで作ってきたお茶の中でもかなり大成功の部類だ。これほどの風味があるのなら、乾燥後にワインやホワイトリカーに漬けて果実酒・薬酒にも出来るだろうし、そうなるとお菓子などにも使えるだろう。

また、先に考えていた通り開きかけの蕾の方がより香り高かったため、もしかすると花そのものを代用することも出来る可能性もあり、とすると(新芽)の全て余すことなく利用できるということになり、いや驚くほどの使い勝手である。

これほどのポテンシャルを持ったサザンカ、ただ生垣にしているのも勿体ないので、皆さんも一度お茶にしてみては?