理論で学ぶ”音学”講座 第5回~和声進行の禁則事項~

2020年2月19日

作曲をする際には色々な和音をつかったり、和声進行を試行錯誤しながら曲を仕上げていくことになると思いますが、その過程で”何かおかしい”あるいは、気持ちの悪い響きのコード進行になった経験はないでしょうか?

今回の記事では、そのような失敗をなくすために和声進行の禁則事項について触れていきます。

和声進行の禁則事項

ここで言う”禁則事項”とは何千年も前に発生した教会音楽からクラシック音楽。果ては現在の軽音楽に至るまで、音楽という学問が発展する過程で”響き”の美しさ追求した結果、生まれたもののことを指します。

ただ、近現代の音楽やジャズ等においてはむしろ禁則を破ることでジャンルごとの特徴や、ある種の面白さを演出していることもあります。

そのため「古典的なクラシック音楽が作りたい」という場合を除いては、必ずしも”絶対に禁則を破ってはならない”という事ではなく、その曲によって使い分けるという事が最終目標になります。

禁則事項1:連続8度・5度・1度

ハーモニーの美しさを重視する和声法では、ここで紹介する連続進行と後に紹介する並達進行を禁止しています。

連続進行とは、名前の通りその音の幅が連続することです。

つまり、図のように「二声間で8度(オクターブ)・完全5度・完全1度での進行が続くことを禁止する。」という意味ですね(音程の呼称については理論で学ぶ”音学”講座 第1回~音程と音名~を参照してください)。

しかし、これに関しては最近の曲でも多用されていますし、”メロディーを厚くするためにオクターブユニゾンにする”なんてことは当たり前のように行われているのでそこまで気にしなくても良いと思います。

あのモーツァルトもやってますしね・・・

※動画44秒から

禁則事項2:並達8度・5度・1度

並達進行は一言でいうと”並進行した結果、二声部が完全音程になってしまう”ことを言います。

分かりにくいので、図で説明すると

  • 1小節目では二声ともに上行(並進行)したあと完全8度(D-D)になっています。
  • 2小節目では二声ともに下行したあと完全5度(G-D)になっています。

これらを並達進行と呼び、和声法では禁則事項としています。

とはいえ、こちらも現代の音楽ではそこそこ見られますので、一度聴いてみてよほど酷くなければそのまま使っても構いません。

コード進行の禁則

内声部の各音の進行以外に、コード進行自体の禁則と言うのも存在します。
主なものを列挙すると

Ⅱm→Ⅳ(Key=Cの場合:Dm→F)
Ⅲm→Ⅴ(Key=Cの場合:Em→G)
Ⅵm→Ⅰ(Key=Cの場合:Am→C)(※1)四和音、テンションコードの場合も同様。

と、なりますが、こちらも自分が”こっちのほうが良い”と思うのであれば必ずしも守らなくてはいけないものではありません。
ただ、ルールを知ったうえで破るのと、知らず知らずのうちに破っていた…というのには大きな差がありますので、念のため頭には入れておいた方が良いでしょう。

おわりに

今回は和声法の禁則事項について解説しました。

和声法を使って作曲する場合には、ここに記載してある禁則事項を出来る限り守って作曲することによって、より豊かな響きを生み出すことが可能になります。

しかし、特に並達進行に関しては初めからきっちり守って作曲をしようとすると非常に面倒ですし、途中で嫌になってやめてしまう可能性もあります。

仕事として勉強するのであれば別ですが、作曲を趣味として行うのであれば、なによりも楽しむことが一番大切ですので初めから完璧に守ろうとせず徐々に慣れていけばよいと思います。

注釈   [ + ]

1.四和音、テンションコードの場合も同様。